あなたの左手、 私の右手。
「一緒に暮らすか」
「え?」
「俺のマンション、そんなに狭くないし、二人なら余裕で住める。」
「・・・」
戸惑うままの私の体を先輩は包み込むように大切に抱きしめる。

「言っただろ?離れないって。一緒にいるって。」
「でも・・・」
私たちはまだお互いに想いを確認し合ったばかりだ。

「大変かもしれないけどさ、試しに俺の部屋で暮らさないか?」
「・・・」
「この家はひとまずこのままにしておいて、俺の家で一緒に暮らさないか?」
「でも・・・」
「ゆっくり進もうって思ってる気持ちは変わらない。焦らせるつもりもない。でも、離れたくない。これは譲れない。」
「・・・」
さすがに戸惑う。ここで甘えたらだめな気がする。
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