あなたの左手、 私の右手。
一緒に暮らしてから私たちの距離感はかなり近くなった。

「ここ行ったことあるで」
得意げに言う先輩。
「えー行きたいなー。」
「じゃあ今度の週末行こうか。」
「はいっ!」
「お前、食べ物の話してるとき、一番ええ顔するな。」
「そうですか?」
先輩が私の頭の上に手をそっと置く。
「元気そうでよかった。」
先輩がそう言うのは、私が今日おばあちゃんの49日の法要を済ませて来たからだ。
先輩も、喪服に着替えて手伝ってくれた。
「今日はありがとうございました。」
おばあちゃんの法要だけじゃなく、今日は朝早くから私の家の掃除や庭の草刈りまで手伝ってくれた。
「無事に、おばあちゃん天国行けたんちゃうか?」
「はい。」
お葬式の時よりも断然冷静に、私はちゃんと心でおばあちゃんに感謝が伝えられた。
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