あなたの左手、 私の右手。
第9章 ~試練~
「ボードの確認頼む。」
「はい」
一緒に暮らし始めてからも私たちは、いつも通り変わらずに仕事をしている。
むしろ前よりも呼吸がさらにあうようになって仕事をこなせる量も、私自身ふえたように思う。

今までは先輩の仕事のフォローが中心だったのが、私から先輩に企画の案を出したり、企業に先輩の名前を借りずにアポをとったり交渉をすることも徐々に先輩に任せてもらえるようになっている。

「〇〇商店の企画展がいつに決まったか見てきて。」
「了解です。」
先輩に指示される前から先輩がボードの確認を私に伝えた時点で何をポイントに見ればいいかもわかるようになっている。
今、仕事が楽しくて仕方ない時期だった。

これも先輩のおかげだ。

ちゃんと私のペースも見ながら仕事を任せてくれる先輩の姿に、主任も人が変わったようだと喜んでいた。
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