あなたの左手、 私の右手。
先輩はエレベーターに向かいながら、フロアの中でドライバーを手にした。
「いろいろと確認できる配電ボードをみる。」
そう言って先輩はドライバーを使って緊急時しかみられないような、配電ボードと、エレベーターが今どこで止まっているのかを確認した。
そして、エレベーター内でどの階に行く予定だったのか選択された階も見ることができる。

これは社員ならだれでも知っている知識ではない。
先輩がいろいろと業者の作業に興味をもったり、今までの企画展で何かが起きた時に対処してきたからこそ知っている知識だった。

先輩が配電ボードで何かを見た瞬間動きをとめる。
次の瞬間先輩は走り出した。

「どうしたんですか?」
先輩のあとをついて走ると、先輩は緊急用のビルの電話を手に取った。
直通で社長クラスの人間もいる、【ASAKAWA】の本部に直接連絡が入る。
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