あなたの左手、 私の右手。
すぐに社員用のエレベーターの扉に両手を力の限り差し込み、こじ開けようとする。
でも思ったよりも扉は重くて開かない。

それでもできることと言えばこれくらいしかない。

「誰かいますか?」
力いっぱいこじ開けながら、声をあげる。

途中で履いていたヒールの靴が邪魔になって、脱ぎ捨てる。

ほかの社員たちも集まってきて、一斉に手を入れてみんなで扉をこじ開けようと力を込めた。

「かせ」
先輩も戻ってきて、スーツを脱ぎ捨てて、シャツをめくりエレベーターの扉をこじ開ける。

男性社員たちの力で、扉がかすかに開いた。
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