あなたの左手、 私の右手。
救わなきゃ。


「赤名」
私の姿を見つけると先輩は少しほっとしたような表情をした。
先輩も私のことをよく知っているからこそ心配だったのだろう。

「救急隊のかた到着しました。」
エレベーターの前に着くと先輩が冷静に内部の状況を報告してくれた。

「レスキューが到着する前に一名隊員が内部に入ります。」
救急隊員は必要な応急救護の道具を持ち、すぐにエレベーター内部に向かった。

「もう一名の隊員がレスキューの隊員の誘導に入ります。中の要救護者の状況説明は我々で行います。皆さんはエレベーターの管理会社に到着までの時間を確認してください。途中でエレベーターが動くのが一番危険ですので、一度こちらは非常停止状態にさせていただきます。」
淡々と説明する救急隊員にさすがだと感心している暇はない。

「赤名、こっち」
先輩に呼ばれて、ほかのお客様が入らないように、規制線をはる準備を先輩と始めた。
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