あなたの左手、 私の右手。
タクシーで先輩のマンションに帰る間も、私たちは手を離さなかった。

適当にデリバリーを頼んで、ほとんど無言で食事をしている間も、お互いの目を目が合うたびに、ふっと微笑みあう。

食事が終わってから私たちは一緒にお風呂に入って、一日の疲れをとった。
先輩はとことん私を甘やかしたいらしく、私のメイク落としや、髪を洗うことまで鼻歌交じりでやってくれる。

お風呂から上がると、先輩は私の髪を乾かして、スキンケアまでしてくれた。

私もお礼に先輩の髪を乾かそうとすると、明らかに身長が高い先輩のおでこにドライヤーが当たってしまって、二人でげらげらと笑い合った。

ソファに並んで座って、冷凍庫に残っていたひとつのアイスクリームを二人で分けて食べながらお笑い番組を観て、再びゲラゲラと笑い合う。
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