あなたの左手、 私の右手。

会社からでてリラックスしているときは先輩が関西弁になる。
私には最近この関西弁が心地よかった。

「おっ搭乗時間になったから行くか。」
「はい」
先輩に続いて私が立ち上がると先輩は私の宿泊用の荷物を当たり前のように手にした。

「大丈夫です！私持ちます。」
荷物に向かって手を伸ばすと、先輩が私が持てないように遠ざける。

「おにぎりのお礼や。このくらいさせろ。それにヒールで転んだら出張が台無しになるやろ。」
「でも先輩にもっていただくわけには。」
「今更やろ。大丈夫。俺、お前の体力も知ってるけど、お前がどんくさいことも知ってるで。」
そう言って笑いながら先輩はどんどんと先を進んでいった。

私は慌てて先輩を追いかける。

先輩に追いつくと、私の歩幅に合わせるように先輩は歩くスピードを緩めてくれた。