あなたの左手、 私の右手。
席に到着すると先輩はトイレに向かった。

私は荷物を持ってもらったお礼にと、先輩の荷物と自分の荷物を頭上の棚に乗せようとした。

『ゴンッ』「痛っ!!」

自分の荷物を持ち上げた途端、意外と重くて、棚が高くて頭にダイレクトに落ちて来た。

「あほっ、俺が戻るの待っとけよな。」
トイレから戻ってきた先輩が慌てて頭を押さえてしゃがみこむ私の隣に膝をつく。
「大丈夫か?」
「痛かったです」
「だろうな。どれ?血ぃ出とらん?」
「いたー」
私が頭を押さえていた手をどかして、先輩が私の頭を撫でる。

「ぶっ!」
その瞬間頭上から吹き出して笑う声が聞こえる。
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