あなたの左手、 私の右手。
「原因はトラックの運転手の居眠り運転でした。」

事故のあと、病院で何度も警察から事情を聞かれた。
そして弁護士を立てた裁判でも、何度も何度も・・・過去を無理やり引き出されて証言した。

「・・・忘れたくても忘れられなくて・・・」

思い出した過去に胸が痛んで涙があふれ出す。

うつむいた私を包み込むように、先輩は私を抱きしめてくれた。

大きな熱い手で私の背中をさすってくれる。

「2年かかりました・・・おばあちゃんがそばで支えてくれて・・・少しずつ・・・でも・・・今日みたいなことがあると・・・」
「思いだすんやな」
先輩の胸の中で頷く。
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