翠玉の監察医 癒えない時間
「初めまして!私はアーシャ・クルニコワ。ロシア人よ。よかったら仲良くしてほしいな〜って思って」

「俺はアーサー・スチュアート。アメリカ生まれのアメリカ育ちのアメリカ人!君、いくつなの?東洋人は見た目が若いって聞くけど……」

蘭は立ち上がり、お辞儀をしてから淡々と答えていく。

「お初にお目にかかります。神楽蘭と申します。日本人で十一歳です。法医学を学ぶために入学いたしました」

「えっ!?じゃああなたが学校で話題になった天才美少女!?」

アーシャの言葉に蘭は首を傾げるが、クラスメートたちは「あの子が例の天才だ」とヒソヒソと話し始める。

「まあ、十一歳だろうとここで勉強する仲間だ。仲良くしよう」

アーサーに手を握られ、蘭は「はい」と無表情のまま答える。友達という存在を蘭は持ったことがない。そのため、この感覚がどこかくすぐったい。

それから始まった医大での生活は、蘭にとって刺激的な毎日だった。様々な知識が次々に蘭の中に吸収され、蘭は眠ることや食べることを忘れて勉強に没頭してしまう。
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