翠玉の監察医 癒えない時間

「二人とも、私と蘭にはもう結婚できる相手がいるから頑張ってね〜！」

アーシャがふざけながらそう言うと、ミンホとヘンリは笑いながら「ムカつく！」と返す。しかし、蘭は首を傾げながらアーシャを見つめた。

「アーシャには恋人がいます。しかし、私にはそのような人はおりません」

「何言ってんの！いるでしょ！」

アーシャは驚きながら蘭の胸元で煌めくブローチを指差す。そして言った。

「そのブローチ、あの人がくれたんでしょ？私たちとは働いている部屋は違うけど、蘭と同じ日本人の優しそうな男の人！一緒に住んでるって蘭が言ってたからてっきりそういう関係なのかと思って。あと、そのブローチになってるのってエメラルドだし」

「エメラルドがどうかしましたか？」

訊ねる蘭にアーシャはエメラルドの石言葉などを教えていく。するとヘンリとミンホはニヤニヤし始め、蘭は目を見開いた。

「もしかしたら、すでに蘭も恋に落ちちゃってるかもよ？恋に気付かない人だっているし」