翠玉の監察医 癒えない時間

四 探偵の覚悟

「私は、誰が自分を撃ったのか覚えていません。その部分だけ記憶が抜け落ちてしまっているんです。ですが、私は助かり目を覚ました時には病院でした。警察に私は犯人たちを殺害してしまったことを話しました。しかし正当防衛と判断され、罪に問われることはありませんでした。ですが、星夜さんが行方不明になったことや私の犯してしまった罪は三国家の人たちに伝えられ、私は病室に来た三国家の人たちに責められました。人殺しだと……」

部屋の空気が重い。圭介はただ黙って目の前で自身の過去を話す蘭を見つめていた。その目には涙が浮かんでいる。

「それからしばらくして、上司から日本の法医学研究所に行くように言われました。日本の方が治安がいいからと……。私はアーサーと共に日本の法医学研究所に行き、そこで私の上司から事情を聞いた碧子先生と出会い、碧子先生の家に住まわせていただくことになりました。そして、ゼルダやマルティンと出会いました」