翠玉の監察医 癒えない時間
「この子は将来、検視官になるかもしれないな」

「頭がいいのね。どっちに似たのかしら?」

二人は気味悪がることもなく、蘭の頭を撫でていた。変わっている蘭を心から愛していたのは、理解してくれるのは、両親だけだった。

駆流たち神楽家は、無理やり三国家の集まりに参加させられ、そのたびに嫌味などを言われていた。義彦たちは仕事のストレスを自慢や嫌味によって駆流たちにぶつけているのだ。

蘭も三国家の集まりに参加させられていたのだが、三国家の人間たちからは白い目で見られていた。そして「何あの子」とヒソヒソと話すのだ。

「あの子、全然笑わないわね。虐待でもされてるのかしら?」

「気持ち悪い絵ばっかり描いて……。何なの……」

「あんなんじゃ嫁に行けんな」

「アイツ、マジでキモ〜イ!」

蘭は三国家の集まりに参加するたびに、陰口を言われたり、スケッチブックを隠されたりした。しかし、蘭は無表情のまま何も話さないのだ。
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