子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
昼間の宣言通り、早く帰ってきた柊也さん。
ご飯を食べて、早々に入浴を済ませると、「あんまり待たせるなよ」なんて耳元で囁いて寝室へ向かっていった。

もう。なんでわざわざドキドキするような言い方をするのよ。
彼の出ていったリビングで、一人心の内で文句を言っているけれど、言われた通り、素早く入浴を済ませてしまう自分が恨めしい。



「紬、おいで」

ベッドの上で、両腕を広げる柊也さん。拒む気持ちなんて、少しも湧いてこない。

〝だって、子どもが欲しいから〟

最近、なんだかその言葉を言い訳にしている気がする。今日はチャンスの日から程遠いというのに……


そろりと近付いてベッドに手をつくと、待ちきれないというように腕を引っ張られて、ストンと彼の腕の中に収まってしまう。
柊也さんは片手で私を抱きとめると、もう片方の手で頭を撫でてくる。

なんだか子ども扱いされてる気がしなくもないけれど、たくましい胸元に体を預けていると、温かくて心地良い。だから、されるがままになってしまう。

でも、しだいにその手つきには、優しさだけじゃなくて怪しさも増してくる。

目的のためだけの行為ならこんな甘やかすような時間は必要ないはず。
けれど彼は「気持ちを高めるのに大事」なんて言って、いつも甘く触れてくる。



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