子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
2回目のチャンスは、タイミングを合わせることができた。
そのことに一喜一憂する私を、柊也さんは呆れた顔をして見てくる。

「紬、知ってるか?セックスが義務になると、子どもができにくいって話もあるんだぞ」

確かに、タイミングの見極めをやめた途端に妊娠したなんて話は、ネットでよく見かけた。理屈はわからないけれど、きっと精神的なことも影響しているのだろう。

けれど、それは本当の夫婦だから当てはまること。契約で結ばれた私達の間で、そこを履き違えるわけにはいかない。
月一度しかないチャンスは、最大限に生かすべきだ。

「で、でも、やっぱりタイミングを見ることは、確率が高くなるってことだし……」


〝子どもができれば、この関係も解消できるから〟

とは続けられなかった。
早く妊娠して、早くこの家を出ないと、自分の心が取り返しのつかないことになってしまいそうで怖くなってくる。

苦しみなんて伴わないはずだった。
子どもができた時、私は幸せに満たされているはずだった。
母子2人の生活を思い描いて、満足しているはずだった。

それなのに……

今はそれが辛い。

彼との別れを想像すると、胸が苦しくなってくる。









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