子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「エイプリルフールじゃないのよ?」

「春はまだ先だねぇ」

狼狽える綾なんて珍しすぎて、思わず冗談めかして返す。
綾は顎に手を当てて、何やら考え込んでしまった。

その間私は、メニューを広げて眺めてみる。以前だったらカロリーぐらいは多少気にしていたけれど、最近は加えて塩分も気にするようになった。
日に日に自分の体の変化を感じてくると、不思議と意識も高まってくるようで、赤ちゃんに良いことをしたいと思うようになってきた。

「紬」

「ん?」

「あんた、なんでそんなに平然としていられるの?」

綾にはそう見えたんだ。
でも、実際はそんなんじゃない。

それを聞いて欲しいのもあって、今夜会うことにしたんだから。

「そうでもないけど……あっ、ねえ。私の話は長くなっちゃうから、よかったら綾の話を先に聞かせてよ」

「う、うん」

とりあえずオーダーを済ませて、話を聞く姿勢になった。



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