子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「えっと……予想はついてると思うけど、あの時紹介した人と付き合い始めたの」

「本当?おめでとう!!あの時すごくいい雰囲気だったから、時間の問題だと思ってたんだよ」

「で、私のことはいいから、紬のことよ!!」

やっと落ち着いてきたのか、綾はいつもの調子を取り戻したようだ。

「で、相手は?どうしてそうなったの?きっかけは?」

「え、えっとね……」

矢継ぎ早に質問してくる綾に押されながら、ことの次第を話す。

あの日、居酒屋で綾と別れた後、隣の席に柊也さんがいて、全てを聞かれていたこと。契約を持ちかけられて、とりあえず入籍したこと。数ヶ月後、妊娠が判明したこと。そして今に至ると全てを打ち明けた。

「じゃあ、なに。近い将来、その人と別れるってこと?」

「う、うん……」

「とりあえず、おめでとうでいいんだよね?」

〝別れる〟の一言に表情を曇らせた私の様子を伺いながら、綾が確認してくる。きっと綾には私の気持ちがわかっているのだろう。

「うん。子どもができたことは、本当に嬉しいから。ありがとう」




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