子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「お父さん、好き嫌いはダメなんだよ」

休日、3人そろってお出かけした帰りの外食。中華系のファミレスで、みんなでシェアしようと、お子様セットに加えて何種類かのメニューを注文した。
外食っていうだけで気分が変わるのか、雅也は苦手な野菜も家での食事よりは食べてくれる。たまにのことだから、味付けが濃いのは目を瞑ろう。

そんな雅也は、とうとうお父さんが密かにピーマンを避けていることに気付いたらしい。

「ん?そんなことしてないぞ」

そういう柊也さんは、さっきから青椒肉絲に手を付けていない。私が取り分けた小皿が、そっくりそのまま残されている。

コアクリエイトに行き始めた頃、確か青椒肉絲を出したことがあったはず。あの時はどうしたのかと、ピーマン嫌いを知ってから尋ねてみた。

「紬が作ったものと思えば、愛の力で食えた」

なんだそれ?

「というのは半分冗談で、味見したら美味かったんだよ。けどさあ、その後、紬以外の作ったものも試したけど、やっぱダメで」

私、特別な味付けとかしてないけど?

「やっぱ、愛のなせる技だな」

と、なんともよくわからない返答だった。




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