子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
それほど量はなかったのが良かったようで、水の力も借りながら、なんとか完食した柊也さん。

「お父さん、すごいねえ!!よく頑張ったね!!」

自分が褒められた時のことを覚えているようで、まんま同じように柊也さんを褒め出した雅也。

「ねえ、お母さん。お父さんすごいねぇ」

もちろん、私にも振ってくる。心なしか、周囲の席から視線を感じる。加えて失笑も。
柊也さんはだんだん居心地悪そうになっていくし、雅也は自信満々で私にも褒めろと訴えてくるし……

「そ、そうだね。さすがお父さんだね」

「うん。お父さん、ご褒美だね!!」

うっ……
もので釣ってはダメだとわかっていたけれど、先日、どうしようもなくなって、ついご褒美で釣ったことを思い出した。子どもって怖い。こんなふうにしれっと外で言われるとは……

「お父さん、よしよし」

満面の笑みの雅也は、柊也さん引きつった顔にも、私のたじろぎにも気が付かず。腕を必死に伸ばして、お父さんの頭を撫で出した。

「あ、ありがとうな、雅也」

「お母さんも!!」

他人の目があるこの場で、私にもそれをやれと……

「ま、雅也、お母さんからは、違うご褒美にしようかなあ」

「違うご褒美?」

「か、帰ったら、お父さんの好きなお酒をあげるとか?」

私が2人目を妊娠して以来、「俺も禁酒する」って我慢している柊也さん。雅也もなんとなくお父さんがお酒を我慢しているのは知っているから、これがご褒美になるってわかるはず。

「うん。よかったね、お父さん!!」

よかった。納得してくれたみたい。




< 238 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop