子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「コースでいいか?」

席についた早々そう聞くと、私が頷くのを見てオーダーをした。

「こんな豪華なところ、よかったんですか?」

「お祝いだって言ったろ?それに、今日は結婚記念日になるんだから」

そうだった。この後、この後婚姻届を出しに行くことになっている。

結局、橘さんと契約を結んでからすぐに、伯母には洗いざらい話しておいた。
「いい年した大人なんだから、自分がそれでいいなら構わないわよ」
と、思いの外すんなりと認めてくれたことに釈然としなかった。けれど、反対されて面倒なことになるよりはずっといいと、その場で婚姻届の証人欄を書いてもらっていた。

柊也さんも、友人に書いてもらったと言ってたけど……本当にご両親の方はいいのかと、ちょっと気がかりだったりする。
もしかして、私の存在を知られたくない何かがあるのかもと勘ぐりそうになったけれど、私にそこまで詮索する権利はないかと聞くのをやめた。

「それじゃあ、帰りはケーキでも買っていきましょうか」

私の提案に、柊也さんは嬉しそうな笑みを浮かべて頷いた。


おかしいなあ……

この結婚は離婚ありきで、目的のためだけのものなのに、自らお祝いの提案をしちゃうなんて……






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