子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「いただきます」

しばらくお互いに黙々と食べていた。
私の方は、どのタイミングで話を切り出すのかを伺っているんだけど……

「なんだ、紬」

「へ?」

「さっきから、何か言いたげに見てるようだけど」

バレていたらしい……

せっかく聞いてくれそうな雰囲気だし、絶好のチャンスだろう。

「あ、あの……」

「ん?」

ああ……
イケメンの〝ん?〟プラス首を傾げる姿の威力は半端ない。思わず見惚れてしまう。

「なんだ?」

「え、えっと……」

見惚れてる場合じゃなかった。
言え、言うんだと自身を鼓舞するも、恥ずかしさもあってなかなか言い出せない。

もじもじしているうちに何かを察したのか、柊也さんがニヤリとした。

「子作りのことか?」

そ、そんなストレートに……
やっぱり、この人に羞恥心なんてものはなさそうだ。皆無に違いない。

「そ、そうなんですけど……」

ええい。この人の前で恥ずかしがることの方が恥というもの。
覚悟を決めて話すことにした。



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