恋愛経験0のイケメン俳優と恋をした件。(事件)

大蔵さんは笑顔で言ってくれたのに

泣きそうだった



帰りたくない



私がちゃんと答えなかったから…



「ん?…織乃さんどーした?」



大蔵さんが心配そうに私を見た



大蔵さんの声が優しくて

もっと泣きそうになる



ただ…



「会いたかった、大蔵さんに

私も、会いたかったです」



涙声だった



「オレの名前
大和(やまと)、大蔵大和
大きいに平和の和」



大蔵さんが名前を教えてくれた



「あだ名、LLだった」



「なんで、エルエル?」



「名前の中に『大』が2個あるから
痩せててチビだったのに
LLって笑えるけど…

笑って…ツムツムも…泣くな…」



泣きそうだったのバレてた



「うん…泣かないです
思ってた通りかっこいい名前でした」



「なに?それも仕事で言ってんの?」



大蔵さんが笑った



「今日は、さっき仕事終わりましたよ

ずっと大蔵さんの名前知りたかった
一生知れないと思ってた」



「なんで、そんなの知りたいの?
織乃さん、変なの…」



「変かな…

変ですかね?」



「うん、変でしょ」



ただ…



「好きな人の名前
知りたかっただけです」



伝えた



「え…」



「今のも時給発生してません

私の気持ちなので
聞き流してください」



私の気持ちを伝えただけ



ただ…

それだけ



初めての気持ちだったから

伝えたかった



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