恋愛経験0のイケメン俳優と恋をした件。(事件)
少し前に紬が見えた
ハア…ハア…ハア…ハア…
手を伸ばして紬の肩を叩いた
ハア…ハア…ハア…ハア…
「大和!びっくりした…
変質者かと思ったよ!」
オレに気付いてキミは笑った
「、、送るのに…
言ってよ、、、帰るなら…」
「うん、ありがと
でも大丈夫!」
ハア…ハア…ハア…
なんでオレ
こんなに必死に走ったんだろ
紬がひとりで帰るの心配だったから?
それとも
また紬がいなくなりそうで
不安だったから?
大丈夫!って
キミは笑顔で言ったけど
いなくなる時も
いつもキミは笑顔だった
「大和、ヒゲない…」
キミの視線がオレの口元にあった
「あぁ…うん
さっき剃った」
キミが寝てたから
オレ
なんか期待してた?
「大和、チョコ食べた?」
「ん?なんで…?
今日は食べてないけど…
昨日食べた
あ、その前の日も食べたかな…
…
紬も食べたかった?」
「ニキビあるから!」
キミは背伸びして
オレの口元のニキビを指で押した
ドキン…
一瞬
20cmより
近くなった
「痛!
ちょっ…やめろよ…」
冷たい
キミの指先
いつかを思い出した
キミの手を掴んだ
無邪気に笑ってたキミの笑顔が
焦ったのがわかった
ドキン…
やめろよ…って
痛かったのもあったけど
ドキドキするじゃん
やめてよ
「手、冷たいよ」
ドキ…
ドキ…
「うん…」
頷いたキミの手を
そのままオレのコートのポケットに入れた
ドキ…
ドキ…
ドキ…
自分が咄嗟にしたことに
オレも焦ってる
ドキドキ…
ドキドキ…
いつか
好きな子の手を初めて握った時
冷たくて小さくて
でも優しかったんだ