プラチナー1st-

廊下の突き当りの倉庫室の前で、和久田と向き合う。…何故か、和久田は不機嫌だった。

「…なに、和久田くん。話って…」

紗子が促しても、和久田は口を開かない。話があると言ったのは和久田なのに、口を開かないとか、なしじゃないの?

「話がないなら、私、席に戻るわよ? こんなとこまで引っ張ってきて、なんなの…」

手首を擦りながら紗子が不満を言うと、和久田はやっと口を開いた。

「…浜嶋主任と不倫って、本当か」

「へ…?」

思わぬ言葉が和久田くんの口から聞こえて、びっくりする。

「新宿の、ア・コードって店で浜嶋主任と飲んでたって、ホントか?」

店の名前まで出てきて更にびっくりしたけど、まあ、それは事実だから頷く。

「不倫だぞ?」

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