プラチナー1st-
「婚約者が居る浜嶋主任に横恋慕してるくらいなら、まっとうな恋した方が良いかなって思って」
な、なにを職場で爆弾発言してるんだ、この人は!
「ち、違います! 断じてそんな気持ちはありません! そして和久田くんとは単なる同期なだけです!」
焦って紗子が火消しをしようとするのに、和久田くんは更に油を注ぐようなことを言っている。
「これから仲は発展してくんで。まあ見ててください」
何故か自信満々の笑みを浮かべている。そんなこと主任に宣言しなくて良いから! っていうか、発展も何も、和久田くんとの間には何の感情もないし!
「馬鹿なこと言ってないで! 行くんでしょ! 行くだけ行って、さっさと帰るわよ!」
これ以上和久田くんが浜嶋主任に血迷ったことを言う前にこのフロアから連れ出さなくては…。
そう思って紗子は和久田の手を引いてパーティションの間から通路に出た。主任が、たまには定時で上がってゆっくりしろよ、と声を掛けてきたのに泣きそうになった。