プラチナー1st-



「つまり」

和久田が口を開く。

「俺と涌沢の打ち合わせ姿をデートと勘違いして具合が悪くなって浜嶋に家まで送ってもらった、…ってこと?」

紗子と和久田の話を纏めるとそうだった。和久田が昨日出社しなかったのは出張だったからで、その出張の後に打ち合わせで涌沢とあのカフェで落ち合ったそうだ。仲良くメニューを見ていたと思ったのは、和久田が手に入れてきた資料を一緒に見ていただけで、別に仲良くしていない、とは和久田の談だ。

「その話を聞くと、俺は少しは期待しても良いのかな、……って思っちゃうけど?」

この期に及んで断定じゃなくて、紗子の言わせようとするのが根性悪い。紗子は言葉をうろうろと探して、でもやっぱりこう言うしかなかった。

「……だって、『振り向いてくれない人を追っかけてるよりも、好意を持たれる方が心地良い』んでしょ?」

紗子の言葉に和久田が破願した。


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