プラチナー1st-
和久田くん
週明け月曜日の朝の会議。
「―――このような理由で、今回考えていたデザイン案のうち、C案が妥当と考え、最終的にご提案させて頂こうと考えております」
資料を示して部長たちを相手に説明を終える。部長は手を顎につけ、ふむ、とひと呼吸考えると、良いんじゃないのか、と言ってくれた。
「良く練られている。街頭アンケートの集計もターゲットを絞れていて良い。お客様がユーザーを獲得するためのツールだ。責任をもってやって欲しい」
励ましの言葉をもらって嬉しくなる。浜嶋主任と一緒に、はい、と返事をした。ちらりと視線が来て、頑張るぞ、という主任の意気込みも感じた。
では散会、という課長の言葉で参加者が散り散りになる。紗子は浜嶋のところへ資料をもって歩み寄った。
「やったな、松下」
浜嶋がこぶしを差し出してきたのでこぶしを突き当てる。こつんとこぶし同士が当たって、浜嶋がにっこりと笑った。紗子も笑顔になる。
「はい、やっと一件終わりました。面倒見て頂いてありがとうございます」
「そうだな、やっと一件だ。でもこれから忙しくなるぞ」
浜嶋の視線に満面の笑みで、はい、と応える。本当に最初から係わったこの案件が動き出す。この案件は、入社二年目に入った紗子が初めて経験する仕事だった。高揚感に胸が躍る。早く一人前になって、浜嶋に褒められたいと思った。