片思いスパイラル。
「おい、雨。」


「おい……おい!」



雨に濡れていたら、周りの人に涙も気づかれない、むしろ好都合だ。

初めて雨を嬉しいと思って、初めて……誰かに傘を渡された。


「これ。」


「え?」


気がつくと、隣に黒い服を着た男の人が。


傘を私に向けて私が濡れない様にしてくれている。でも、なんで?


「寒くないのか?」

「……。」


言われてみれば、……。寒い。


病院を出てから、家の近くの公園で泣いていた。声はもちろんのこと、涙が止まらなかった。


ちょっと、うるさすぎたのかな。周りに人がいるかもしれないって、思いつかなかったから、この男の人に話しかけられて少し反省。
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