生まれ変わってもまた、何度でも恋をはじめよう。
この男の子も頼まれて嫌々来たんだろうな。
でも、今まで女の子だったのに、
どうして男の子が来ることになったんだろう。
もしかしたら、会ってもいないのに
学校の女子全員に嫌われてしまっているとか?
どうでもいいけど。
可哀そうな人だな。
こんな面倒なことを押し付けられてしまって。
これから一年、この面倒ごとが
続くなんて思ってもいなかっただろうから。
「知らない女の子のお見舞いなんて、
あなたもかわいそうね。
別に毎日来なくてもいいよ。
先生には、上手く言っておくし」
自嘲気味に鼻を鳴らして言うと、
彼は少しムッとした表情を見せた。
病室の中に入って静かに扉を閉めると、
つかつかと私の傍まで歩み寄ってきた。
「お前にかわいそうなんて言われる筋合いはねぇな」
「そうね、あなたからすれば
病気の私の方がかわいそうに見えるよね」
「そんなことは言ってねぇだろ」
「あなたは一年もの間通わなくて済むかもね。
どうせ私は、長く生きられないんだから」
私がそう言うと、彼は更に眉間にしわを寄せて睨んだ。
私は病気になってから今まで、
人からそんな視線を向けられたことはなくて、
いつも私を憐れんで同情し、気遣って
優しい目を向けてくる人がほとんどだったのに、
彼は違うみたい。
初めてのことに少し戸惑いつつも、
表情には出さなかった。
男の子は大きなため息をつくと、
突然私の腕を掴んだ。
さすがの私も驚いて腕と彼を交互に見た。
その手を振り払おうとしてみるも、びくともしない。
痛いくらいの強さで掴まれていた。