生まれ変わってもまた、何度でも恋をはじめよう。
「お前さ、そうやって諦めたような態度、やめろよ。
そういうやつ、一番嫌いなんだよ」
「な、何?別にあなたに関係ないでしょ」
「そんなんじゃ死んだやつに失礼だと思わねぇのかよ。
今、生きていられるっていうのに、もう諦めた、
どうせ私なんか、って諦めてるお前よりも、
少しでも長く生きたいと思ってるやつらが沢山いるんだよ。
そんな顔でなんとなく生きてんじゃねぇよ」
私にキツイ言葉を投げかける人も、
今まで一人もいなかった。
だからなのか、ただ茫然と、
彼を見つめることしか出来なかった。
触れられている腕が熱くなる。
痛みがピリッときていて、
目の前のこの人が本気で怒っているのが分かる。
あれ?私はどうして怒られているんだっけ?
「なんで初対面のあなたにそんなお説教じみたこと
言われないといけないの?
こういうやつが嫌いなら、ほっとけばいいでしょ」
力いっぱい振り払ったはずなのに、掴まれたままの手。
瞬間接着剤でもついていそうなほど固くて、
さすがの私も驚いた。
そんな動揺を見せたくなくて、
あくまで冷静を装いながら彼を睨み上げた。
けれど彼は、涼しい顔をして私を見下ろしていた。
「やだね。俺は俺のやりたいようにやる。
お前が決めることじゃねぇよ」
「えっ?」
「まあでも、我慢する時間は決められていた方が
お前のストレスも少なくていいだろうな。
俺はきっかり三時間で帰る。
それでいいだろ」
三時間って……結構長い時間だと思うけど、この人本気?
本気で見ず知らずのクラスメートのために
この退屈な部屋に三時間もいるの?
三時間もあれば友達と遊んだり、
お小遣い欲しさにバイトしたり、
恋人のために時間を使ったり出来るのに。
絶対変な人だ。
最強に無駄な時間を私のために使うなんて。