死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「で、玄関はこっちね」


階段を下りてすぐの玄関まで行くと、鍵はちゃんとかけられていた。


「じゃ、お見送りはここまでだから」


梓に誘導されるがままに外へ出る厚彦。


玄関に鍵をかけると、やっと胸をなでおろした。


(なにがなんだかわからないけど、とにかくこれで眠れそう)


ふあ~と、大きくあくびをして自室へと向かう。


そしてドアを開けた瞬間……目の前に困り顔の厚彦が立っていた。


「キャア!?」


「ご、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど」


厚彦は慌てて頭を下げる。


梓は驚きのあまりその場に尻もちをついてしまった。


「さ、さっき玄関から出たでしょ!」


「そうだけど、戻ってきちゃうみたいだね?」


厚彦は小首をかしげて言う。
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