死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
まるで他人事のような厚彦の言葉に梓は苛立ちを覚えた。


勢いよく立ちあがると厚彦を睨みあげる。


「ねぇもういい加減にしてくれない? 明日も学校なんだから寝なきゃいけないの」


「そうだよなぁ……。俺もどうにかしたいんだけど」


厚彦は左右に首を振ってみせる。


自分じゃどうにもできないと言いたそうだ。


「手代くんが部屋を出て行ってくれなきゃ、さすがに眠れないんだけど?」


「うん。本当にごめん。でも、それができないみたいなんだ」

厚彦の言葉に梓は眉間にシワを寄せた。


自分でここへ来たくせに、出て行くことはできないとは一体どういうことだろう?


厚彦はまだ冗談を繰り返しているだけなのか、それとも本気で言っているのかわからなかった。


「できないってどういうこと?」


梓はさっきまでの威勢を崩さずに問う。


「広中さん、どこかへ移動してみてくれる?」


「どこかってどこ?」


「どこでもいいよ。でも外は暗いからやめた方がいいかな。家の中なら、どこでも」


そう言われて梓は首をかしげた。
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