死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

梓は机に肘をついて、ボーっと黒板を見つめていた。


さっきから厚彦が黒板の前で逆立ちをしたり、演歌を熱唱したりしている。


けれど、そんなこともあまり頭に入ってきていなかった。


涙を浮かべてお礼を言ってきたカナさんの母親。


自殺を繰り返していたのに、最後には満面の笑顔を見せてくれたカナさん。


2人の顔が忘れられない。


「最近ひとりでグラウンドにいたらしいけど、どうかしたの?」


そんな声が聞こえてきて振り向くと、玲子が立っていた。


いつの間にか登校してきていたらしい。


「え? なにもないよ?」


慌てて取り繕って笑顔を浮かべる。


しかし、玲子は不審そうな表情を浮かべてる。


「嘘ばっかり。なにか隠してるでしょ!」


「か、隠してなんかないってば」


梓は助けを求めるように厚彦へ視線を向ける。


それに気がついた厚彦が近付いてきた。
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