死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
てっきり、世間でも話題になったカナさんのことを言うのかと思っていた。


「そう! バスケ部の部室で着替えをしていると、どこからかすすり泣きの声が聞こえてくるんだって!」


エリカは興奮気味に言う。


よくある噂話に梓はホッと胸をなでおろした。


もっと信憑性のある話かと思ってビクビクしていたのだ。


なんせ、そんな話になると厚彦が食いつかないはずがない。


カナさんの時みたいに巻き込まれるに決まっている。


「どうして泣いてるんだろう?」


聞いたのは玲子だった。


いつの間にか顔色は戻っていて、今度は深刻そうな顔をしている。


「理由はよくわからないみたい」


ヒョイッと肩をすくめるエリカ。


「泣き声に似た音がしてるんじゃない? 空調のモーター音とかさ」


梓がそう言うと、エリカは腕組みをして首をかしげた。


「そうかもしれないとも思ってるんだよね。でも気になるじゃん。なにか悲しくてずっとその場にとどまってるのかもしれないって」


その言葉に梓はカナさんのことを思い出していた。


カナさんも、自分の思いが届かず、悲しい思いをしていたから屋上にとどまっていたんだっけ。

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