死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「そんなの可哀そうだよ!」


不意に玲子が立ちあがり、大きな声をあげた。


クラスメートたちが何事かと視線を向けてくる。


「れ、玲子?」


「ねぇ、助けてあげようよ!」


それは梓と、そして厚彦へ向けられている言葉だった。


「た、助けるって言われても……」


梓はオドオドしながらエリカを見る。


エリカはもうこの話に飽きてしまったのか、他の友人のところに行ってしまっていた。


(ちょっと、勝手に放置しないでよ!)


「玲子、とにかく座って落ち着いて」


梓の言葉に玲子は鼻息を荒くしたまま椅子に座った。


「噂はただの噂だよ? 本当にそこに幽霊がいるかどうかなんてわからないんだから」


「そうだけど……」


梓の言葉に玲子は不服そうだ。


困っている人を無視できないのは玲子の優しいところだけれど、それが幽霊にまで及ぶとは思っていなかった。
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