死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
正直、部屋に厚彦1人残していくのはいい気がしない。


でも従わなければ厚彦が言っていることの意味が理解できない気がした。


「わかった」


梓はしぶしぶ頷いて、自分の部屋を出たのだった。


そのまま階段を下りて最奥の部屋へ向かう。


そこは4畳の和室になっていて、小さな神棚が飾られている。


この部屋を選んだのは単純に自分の部屋から一番遠い場所だったから。


それに、なにか危険なことが起こるとご先祖さまが助けてくれるのではないかと、淡い期待を抱いたからだった。


「さて、どうする気なのかな?」


そう呟いた時だった。


今まで自分以外誰もいなかった和室に、不意に厚彦が姿を現したのだ。


「キャア!」


本日何度目かの悲鳴を上げて、尻もちをつく。


「な、なんでここにいるの!?」


「俺にもよくわからないんだけど、どうやら手代さんから離れることができないみたいなんだ」
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