死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「特に変わったところはないね」


玲子は部室の中をグルリと見回して言った。


梓は頷く。


幽霊の存在を感じた時の寒気はどこにもない。


やっぱり、噂はただの噂だったようだ。


「女子更衣室だし、そんなに長居しない方がいいね」


梓はそう言い、部室を出たのだった。


ひとまず何もなかったことに安心した。


これで幽霊の存在が認められたら、また巻き込まれてしまうところだ。


そう思っていた時だった。


シャラッと音がしたかと思うと、手に持っていたカギが宙に浮いていた。


厚彦が勝手取ったのだ。


「ちょっと、なにするの?」


「男子の部室も確認するんだよ」


厚彦はそう言うと、隣接しているドアへと歩いて行く。


もう一方の鍵を使うと、ドアはすんなりと開いた。


「すごい、今の厚彦くんがやってるの!?」


玲子は感激の声を上げている。
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