死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
最初は驚いて気絶してしまったのに、もう慣れたみたいだ。


「そうだよ」


梓は頷き、仕方なく厚彦へ近づいた。


そして男子用の部室に入った瞬間、冷気が梓の体を包み込んだ。


思わず入口の前で立ち止まる。


しかし、そこからでも十分部室の中を確認することができた。


中にあるものは女子用の部室と変わらない。


奥の壁に背の高いロッカー。


そしてテーブルに椅子。


ただ、男子の方はあまり臭いを気にしないのか、酸っぱい汗のにおいが残っていた。


でも、問題はそこじゃない。


この冷気の正体だった。


「なんか、寒くない?」


玲子が首をかしげてそう言い、電気を付ける。


電気は問題なくついたが、なぜだか周囲は薄暗く感じた。


明らかに様子が変だ。


梓はゴクリと唾を飲み込んで厚彦を見つめた。
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