死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
厚彦は小さな窓に近づき、眉を寄せている。


「な、なにかいるの?」


梓の質問する声がひきつった。


厚彦は無言で頷く。


「なになに? なにかいるの?」


玲子は1人で部室内をキョロキョロと見回している。


「あの辺になにかいるんだって」


梓は厚彦が立っている場所を指さして玲子へ伝えた。


玲子がゴクリと唾を飲む音が聞こえてくる。


「だ、誰がいるの?」


玲子の問いかけに答えたのは厚彦だった。


「男子生徒だ。ここに座ってる。すごく、悲しそうな顔で」


厚彦の言葉に梓は息を飲んだ。


エリカが言っていたことを思い出したのだ。


部室には泣き声が聞こえてくると言っていた。


その霊で間違いなさそうだ。
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