死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「俺、もう死んでるんだ。実態がないから触れることはできない。だけどなぜか広中さんに惹かれちゃったみたいで、離れることができなくなったんだ」


これも、何度か聞いた説明だった。


厚彦は今幽霊で、だから触れることができなくて、なぜだか梓にくっついてしまったようで、離れない。


だけど厚彦は幽霊だから近所の人に見られる心配はない。


そういうことらしい。


梓は腕組みをして難しい表情になった。


「でも、ひとつわからないことがあるの」


厚彦の言っていることが真実だとしても、納得できないことがあった。


「なに?」


何度も説明したためか、疲れた顔をした厚彦が聞く。


幽霊でも疲れるんだろうかと、どうでもいいような疑問が浮かんできた。
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