死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
お守り
休日の部室へ向かうと鍵は開かれていた。


体育館の中からは生徒たちの声と足音が聞こえてくる。


「早く終わらせないと、みんな戻ってきちゃうよ」


梓は焦って言った。


厚彦は部室へ入っていてもバレないけれど、梓と玲子は違う。


女子2人が男子の部室に入り込んでいたとなると、妙な噂を立てられそうだ。


「梓、鍵開いてる!」


幸いにも部室の鍵は開いていた。


不用心だなぁと呆れながら中に身を滑り込ませた。


相変わらず汗の酸っぱい匂いがして、顔をしかめる。


この臭いにはなれることはなさそうだ。


「どう? ユキオさん、いる?」


梓は厚彦へ向けて聞いた。


厚彦は頷き、この前と同じ窓辺へと歩いて行った。


「ここで、体育座りをして泣いてる」


そう聞いた瞬間、スッと冷気が流れてきた気がして、梓は身震いをした。
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