死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

バス事故が起こったのはここから1時間ほどの場所にある県境の山だということがわかった。


しかし、バスや電車は山の麓までしか出ていなくて、山中へ向かうすべがないのだ。


「う~ん。山の麓まで行けるなら、そこから歩けるかな?」


玲子がスマホで時刻表を調べて難しい顔をしている。


「ダメだと思うよ? 見た感じ、道幅も狭いし夜になったら街灯もないし」


梓は自分が見てきたものを玲子に伝える。


今ではもう少し改善されているかもしれないが、女子厚生が2人で歩けるような場所じゃないことは確実だ。


もしも怪しい人間に声を掛けられても逃げ道だってない。


「そっか……。それでも行くなら、タクシーってことになるね?」


「そうだね」


タクシーなら山道に入ってもらうこともできる。


でも、そんな高価な乗り物を使うことになるなんて、考えてもいなかった。


「頼む! どうしてもユキオさんを助けたいんだ!」


厚彦が床に頭をめり込ませて懇願している。


比喩や冗談ではなく、本当に半分めり込ませているから怖い。


「わかったから、頭あげてよ」


梓は慌ててそう言った。
< 171 / 338 >

この作品をシェア

pagetop