死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

「え、違うんですか?」


スマホを耳に当てた玲子が驚きの声を上げ、「そうですか……失礼しました」と、うなだれて通話を切った。


今、美術部の資料を見せてもらい、リュウヤさんの家の番号を突き止めて連絡を取ったところだった。


「どうだった?」


そう尋ねる梓に玲子は左右に首を振る。


「もう番号が違うみたい。電話番号だけ変わったのか、引っ越しちゃったのかわからないけど」


「そうなんだ……」


連絡が取れなければ、アポを取ることもできない。


前回のように突撃してもいいけれど、残念ながら住所までは残っていなかった。


卒業アルバムを確認しようかとも思ったが、5年前ならすでに個人情報も書かれていないだろう。


つまり、八方ふさがりになってしまったわけだ。


なんだかんだと、今まではうまく行っていたから、こんなパターンは始めてだ。


梓と玲子、それに厚彦は美術室を後にして、倉庫へと向かい始めた。
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