死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「これからどうする?」


玲子の質問に、梓は考えていたことを口に出した。


「リュウヤさんは別に悪いことをしているわけじゃないから、そっとしておいてもいいと思う」


カナさんの時みたいに本人がひどく苦しんでいたり、ユキオさんの時みたいに泣き声に悩まされる生徒がいるわけじゃない。


いわば、リュウヤさんはなんの害もない幽霊なのだ。


しかもいる場所は普段全く使われない倉庫。


そこにいられて困ることは少しもない。


「でも……」


玲子はそれでも気になるみたいだ。


「そうだ、リュウヤさんはなんの絵を描いてたんだ?」


ふと思い出したように厚彦が聞いてきた。


「サッカー部の絵だよ。すごく上手だった」


答えると、厚彦はなにか思案するように考え込んだ。


そして次の瞬間「ちょっと、美術室に戻ってくれないか」と、言って来たのだ。
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