死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

「あら、また来たの?」


先生はキョトンとした表情で声をかけてきた。


「は、はい」


梓は苦笑いを浮かべて頷く。


全部厚彦のせいなのだけど、そんなことは言えない。


「真っ白なカンバスと絵の具を貸してもらうんだ」


(そんなのどうするのよ)


そう思いながらも、今は会話ができない。


あいにくシャーペンも持っていないので、返事はできなかった。


「すみません。使っていないカンバスと絵の具はありませんか?」


「え? それはあるけど、あなたが使うの?」


「はい、まぁ……」


煮え切らない態度の梓に首を傾げながらも、先生は美術準備室へと入って行った。


その後ろ姿を見送り、梓は大きく息を吐き出す。


「カンバスなんて、どうするの?」


「わからないの。とにかく貸してもらえってさ」


玲子と梓はコソコソと小声で話す。


「はい。持ってきたわよ」


先生が持ってきてくれたのはB5サイズほどの小ぶりなカンバスだ。


使いかけの絵具も用意されている。
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