死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「あ、ありがとうございます!」


梓はそれを受け取りながら頭を下げた。


「いいえ。もし美術に興味があるなら、ぜひ入部してね」


「はい、もちろんです!」


玲子は元気に返事をする。


どうやら先生は梓たちが取材を進める内に、自分たちで絵を描きたくなったのだろうと考えたみたいだ。


(ごめんなさい。そうじゃないんです)


心の中で先生に謝罪し、倉庫へ向かう。


倉庫内は相変わらず埃っぽく、長居したくない場所だった。


「ここに置いて」


厚彦に言われるがままに、カンバスを絵の具をセッティングする。


そうしながらふと梓は、この場所は追体験でリュウヤさんがいた場所だと思いだした。


厚彦が用意した机の向きも窓を向いている。


「これでいいの?」


「あぁ、完璧だ。さぁ、リュウヤさん思いっきり描いてください!」
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