死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
そう言い、厚彦はカーテンを大きく開いた。


外にはサッカー部含めて多数の部活動が行われている。


5年前の事件のせいか、サッカー部の練習場所はここから遠く離れているけれど、あの時と近い環境ができあがっていた。


「そっか、描き残しの絵がないから、最初から描いてもらうんだね」


梓はようやく厚彦がすることの意図が読めて呟いた。


時間はかかるかもしれないけれど、確実に心残りを解消する方法だ。


「幽霊って絵が描けるの?」


玲子に言われて梓は頷いた。


「厚彦だって、普通に物を持ったりしてるでしょ?」


「あ、そっか」


玲子は納得して何度も頷いた。


「あれ? でもそれだと変だよね?」


「変ってなにが?」


梓は首を傾げている玲子に聞く。


「だって、物を持つことができるなら、美術室から道具を運ぶことだってできるよね? あたしたちが来る前に絵を描いて、成仏することってできたんじゃない?」


玲子の言葉に梓は目をパチクリさせた。


そう言われたらそうかもしれない。
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