死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

もしかしたら、人に見られていると描けないのかも。


そう思った梓たちは一旦倉庫から出た。


食堂へ向かい、おにぎりやサンドイッチで軽くお腹をふくらませて、再び倉庫へと戻る。


太陽はすでに沈みかけているけれどカンバスはまだ白いままだ。


(やっぱり、違ったのかな……)


ここまでリュウヤさんからの反応がないとなると、見当違いのことをしているのではないかと思い始めてしまう。


リュウヤさんの心残りは絵じゃないのかもしれない。


だとしたら、なに?


その答えはまだ見つかっていない。


「そろそろ帰ろうか」


玲子があくびをかみ殺して言った。


お腹が膨らんで眠くなってきたみたいだ。


「そうだね。あまり遅くなってもダメだしね」


今日のところはお開きにした方がいいかもしれない。


どうせ、リュウヤさんは害のない幽霊なんだし。
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