死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
窓にはヒビひとつ入っていない。


「に、逃げなきゃ!」


梓は玲子の手を掴んで教室内を逃げ惑う。


2人を追いかけるように教科書やノートが飛んできた。


「やめてマミちゃん! 玲子はあなたの友達でしょう?」


逃げながら声をかけても、ポルターガイストは収まらない。


マミちゃんは自分がイジメていた相手かそうじゃないか、見境がつかなくなっているのかもしれない。


そのくらい強い怒りを抱えて死んでいったということだ。


「痛っ!」


飛んできた教科書をよけきれず、玲子の腹部に当たる。


「玲子!」


「これくらい平気」


そう言っても分厚い教科書がいいスピードで当たったのだ。


玲子の表情は苦悶を浮かべていた。


(せめて明かりがついてくれていれば、スマホを持って走る必要もないのに!)


不利な状況に梓は下唇をかんだ。
< 260 / 338 >

この作品をシェア

pagetop